愛犬が7歳を超え、活発さが少し落ち着いてきたら、食事の切り替えを検討する時期です。
シニア犬の体は、成犬期と比べて代謝の低下と筋肉量の減少という大きな変化を迎えます。そのため、これまでと同じフードでは肥満や筋力低下を招き、健康寿命を縮めてしまうリスクがに注意が必要です。
本記事は、獣医師の知見と栄養学に基づいた専門的な視点から、シニア犬の体の変化に対応するためのドッグフード選びを徹底解説します。
この記事を読むとわかること▼
- シニア犬フード選びで最も重要な「高タンパク・低カロリー・低リン」の科学的な理由。
- 愛犬の病気(腎臓病など)のリスクに応じた避けるべき栄養素の基準値。
- 人気7製品の「タンパク質・脂質・リン」を比較した一覧表と、最適な選び方。
シニア犬に必要な栄養素 〜代謝低下と筋肉維持のジレンマ〜
シニア犬の体内で起こる最も重要な変化は、エネルギー消費の減少とタンパク質合成能力の低下です。この二つの変化に対応した栄養設計こそが、健康寿命を延ばす鍵となります。
代謝の変化とカロリー調整(低カロリーフードを選ぶ理由)
シニア犬は基礎代謝が約20%低下すると言われています。これは、成犬と同じ量のフードを与え続けると、そのまま肥満に直結することを意味します。
- 推奨基準:成犬用の約80%程度のカロリー密度(ME値)を目安に調整されているフードを選ぶこと。
- リスク:肥満は関節への負担を増大させ、糖尿病や心臓病のリスクも高めます。
筋肉維持のための高質・高タンパクの必要性
加齢とともに、犬は「サルコペニア(加齢性筋肉量減少)」という状態になり、筋肉が落ちやすくなります。これを防ぐためには、良質な動物性タンパク質をしっかりと摂取することが必要です。
- 専門的知見:腎臓病などの持病がない限り、AAFCO(米国飼料検査官協会)の定める基準を上回る高めのタンパク質(約25%〜30%程度)を推奨する獣医師が増えています。
- ポイント:「肉副産物」など品質の不明確なものではなく、消化吸収率の高い生肉や魚を主原料とするフードを選びましょう。
腎臓・心臓に配慮した低リン・低ナトリウムの基準
シニア犬の死亡原因の上位である腎臓病は、初期の食事管理が非常に重要です。腎臓機能が低下すると、リンの排出が困難になります。特に、心臓病や高血圧を抱える犬はナトリウムの摂取にも注意が必要です。
- リン:健康なシニア犬でも0.5%〜0.7%以下(乾物ベース)を目安に。腎臓病と診断された場合は、獣医師指導のもとで0.2%以下など厳密な制限が必要です。
- ナトリウム: 心臓への負担軽減のため、0.3%以下の控えめなフードを選択しましょう。
失敗しない!シニア犬フード選びの4つのポイント
① 主原料の品質とグレインフリーの考え方
- 主原料
必ずパッケージの最初に「生肉(チキン、サーモンなど)」と記載されている、動物性タンパク質を主原料とするフードを選びましょう。 - グレインフリー
消化性に優れるメリットがありますが、動物性タンパク質の比率が十分かを確認することが大切です。
② 関節ケア成分(グルコサミン、コンドロイチン)の含有量
運動量が減っても関節への負担は残り続けます。関節の構成成分であるグルコサミン、コンドロイチン、MSM(メチルサルフォニルメタン)が十分に含まれているかを確認しましょう。
③ 避けるべき人工添加物と不明確な肉副産物
シニア犬は免疫力が低下しやすいため、人工的な着色料、香料、化学的な保存料(BHA/BHTなど)は避けるべきです。酸化防止剤はミックストコフェロール(天然由来)を選びましょう。
④ フードの種類と食べやすさ(ドライ・ウェット・半生)
噛む力や食欲、飲水量に応じて、以下のタイプから選ぶようにしましょう。
- ドライフード
栄養バランスと保存性に優れる。硬い場合は水分を加えてふやかすのがおすすめ。 - ウェット/半生
水分が多く、消化しやすく食いつきが良い。飲水量が少ない、食欲不振の犬に適している。(例:ブッチ)
【2025年最新】シニア犬ドッグフードおすすめ人気7選|比較一覧表
ここでは、市場で人気の高いシニア犬向けフード7製品について、シニア期に重要な「栄養素」「グレインフリー有無」「主原料」を比較します。
| ブランド名 | 主原料 | タンパク質 (%) (目安) | 脂質 (%) (目安) | リン (%) (目安) | グレインフリー | 向いている犬 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ①モグワン | チキン、サーモン | 27.0 | 13.0 | 0.8 | 〇 | 食いつき重視、皮膚・被毛ケア、総合栄養。腎臓に不安がある場合は専用ライン(モグワン・アクティブシニア)推奨。 |
| ②カナガン | チキン、サーモン | 33.0 | 17.0 | 1.2 | 〇 | 高タンパクで筋肉維持を優先したい健康な犬。(※体重・腎臓に不安がない場合に限る) |
| ③ニュートロ シニア | チキン、米 | 25.0 | 10.0 | 0.7 | ×(穀物使用) | 体重管理、低カロリー重視、消化器が敏感な犬。 |
| ④ブッチ(Butch)シニア | 肉類(ニュージーランド産) | 10.0 | 7.0 | 0.15 | 〇 | 食欲不振、噛む力が弱い犬、水分補給不足、腎臓への配慮を最優先したい犬。 |
| ⑤ナチュラルハーベスト シニアサポート | ターキー、ポテト | 23.0 | 8.0 | 0.45 | ×(一部穀物) | 極度の低脂質を求める犬、高タンパクと低リンの両立を求める飼い主。 |
| ⑥ヒルズ サイエンスダイエット シニア | チキン、米 | 19.0 | 13.0 | 0.45 | × | 獣医師監修の科学的根拠(EBN)に基づき、総合的な臓器の健康管理を重視する犬。 |
| ⑦ロイヤルカナン シニア | 米、鶏肉 | 25.0 | 14.0 | 0.5 | × | 犬種別などラインナップの多様性を重視。療養食へのシームレスな移行を視野に入れる犬。 |
※上記数値は各社製品の平均値または代表値であり、モデルにより異なります。詳細は必ずメーカー公式情報をご確認ください。
ピックアップ解説:強みと注意点
<②カナガン> 健康なシニアの筋肉維持を最優先

画像:カナガン|お肉・お魚たっぷり!愛犬が喜ぶ美味しさのグレインフリードッグフード
- メリット
高タンパク(33.0%目安)で、加齢による筋肉量減少を積極的に防ぎたい犬に最適。主原料は良質な動物性タンパク質。 - 注意点
脂質(17.0%目安)とリン(1.2%目安)が相対的に高く、肥満気味の犬や腎臓に不安がある犬は避けるべき。 - 向いている犬
非常に活動的で、体重・腎臓に問題がなく健康で、筋肉維持を優先したい健康なシニア犬。
<⑤ナチュラルハーベスト シニアサポート> 低脂質・低リンの両立

画像:ナチュラルハーベスト(ドッグフード) | 株式会社バンガードインターナショナルフーズ
- メリット
低脂質(8.0%目安)、低リン(0.45%目安)で、胃腸と腎臓への負担を軽減。シンプルな原材料でアレルギーに配慮している。高タンパクと低リンを両立させたいナチュラル志向の飼い主に人気。 - 注意点
食いつきを高めるための添加物がないため、嗜好性にばらつきが出る場合がある。 - 向いている犬
極度の低脂質が必要な犬、膵炎などの既往歴があり脂質制限が重要な犬(獣医師と相談)。
シニア犬の食事管理と獣医師との連携
<療法食が必要なケースと自己判断の危険性>
シニア犬は、腎臓病、心臓病、肝臓病、糖尿病などの持病を抱えやすくなります。これらの疾患が疑われる場合は、必ず獣医師の診断のもとで療法食を選択してください。
<警告:自己判断は危険!>
自己判断で市販の低タンパク・低リンフードを与えることは、腎臓病の進行度や他の病状に合わない場合があり、かえって病気を悪化させる危険性があります。特に腎臓病の療法食は、リンやナトリウムだけでなく、タンパク質の量も病状に合わせて厳密に調整されています。
<与え方:ふやかし方、一日の給与量、体重管理>
- 給与量の調整
定期的に体重を測定し、愛犬の活動量や体型(BCS)に合わせて食事量を調整しましょう。 - ふやかし方
固いフードが苦手な場合は、40℃程度のぬるま湯でふやかすことで、香りが立ち食いつきも良くなります。 - 回数
消化器への負担を減らすため、1日2回から3〜4回に分けて少量ずつ与えることが推奨されます。
まとめ:シニア犬には「科学的根拠」に基づいたフード選びが重要
シニア犬の健康寿命を延ばすためには、「高タンパク・低カロリー・低リン」というシニア期特有の栄養基準を満たしたドッグフードを選ぶことが何よりも重要です。特に腎臓や心臓への配慮は、愛犬の未来を守るための最優先事項と言えるでしょう。
本記事で紹介した7製品は、それぞれの特徴に応じて異なる栄養バランスを持っています。
愛犬の持病の有無、体重、食欲を総合的に判断し、必要であれば獣医師と相談しながら、最適な一台(一袋)を見つけてください!
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